皇族将軍

米軍の支援を得た中国軍の火力は、既に半壊状態となっていた日本軍を容赦なく追い散らした。敗勢にあって日本軍の主だった将の殆どが軍の指揮を嫌がる中、唯一「戦上手の宮様」東久邇宮稔彦王は奮戦し、朝鮮総督府の所在する京城の防衛に成功した。

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気を良くした牟田口中将(彼は北支派遣軍が存在したころからずっと、中国軍と戦い続けていた)が「全将兵が裂帛の意志を以て中国軍に反撃する」などと大言壮語する間、東久邇宮稔彦王は冷静に、中国軍を足止めし続けていた。対する中国軍も、インドシナ半島制圧のために戦力を引き抜いた直後であり、朝鮮半島における進撃速度は半減していた。

陰る太陽

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この貴重な時間は、日本軍にとって大きく有利に働いていた。右翼を一手に引き受けていた岡村寧次大将大将の反撃が成功したこともあり、1947年の4月に朝鮮半島南端の光州が陥落するまで、日本は十分に時間をかけて講和交渉を行うことができた。朝鮮半島に残された技術や行政資料の多くが接収されたが、日本軍将兵の多くは投降した後も米華連合軍に礼節を以て迎えられ、無事に本国へ帰還することができた。それは敗勢の中にあっても戦時国際法が守られたからであり、東久邇宮稔彦王と岡村大将が軍紀を維持し続けたからである。

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自然休戦を挟みつつも10年間続いた中日戦争は、ようやく終わりを告げたのだった。

昇龍

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終戦により、米華間の対日同盟は更新されなくなったが、友好関係は続いた。米国にとって最大の仮想敵であるソ連に対抗できる国家は、中華民国を置いて他にはなかったからである。中華民国は、重慶にあった李承晩の「大韓民国臨時政府」を京城に入れて大韓民国を建国させた他、阮愛國らを首班としたインドシナ連邦を成立させフランス本国との繋がりを完全に断つなど、アジアの覇者として存在感を高めた。

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また中華民国は、日本から接収した技術や賠償艦を基に海軍の建設を進め、10年後には旧日本海軍に匹敵する海洋国家を目指すという方針を定めた。それは、日本の大陸再進出に抵抗し、かつアジアにおいて激化する一方の独立運動に介入するためでもあった。事実、独立したビルマに対する英印軍の圧力は日増しに高まっており、中華民国自身も、チベットを巡って英国と対立する立場にあるからだ。

北洋軍閥の最後

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さらに蒋介石は、中日戦争が終結した今こそ中国大陸は新たな政治的段階へと進むべきと主張し、制憲国民大会の再開と旧弊の排除を推し進め、各軍閥の解体に乗り出した。蒋介石は正規軍に編入可能な、南京への帰属意識が高く練度や規律の優れた部隊のみを残し、他は全て武装解除した。彼は望む者には中華民国の軍籍と再訓練を与えたが、そうでない者からは武器も恩給も奪った。中華民国軍は容赦なく、そのような処遇を拒む兵士たちを政治犯として刑務所に送った。

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政治的な安定は、文明の進化を促す。中日戦争後、懸念されたソ連との対決も生起せず、中華民国は高度経済成長を迎えた。自由化された経済は一時的に内陸の国内産業を圧迫したが、財閥の影響から逃れた新興企業が積極的に内陸側の国土を開発したことにより、中華民国の財政と生産力は飛躍的に向上した。

大躍進の時代

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沿岸部においても、財閥の影響力増大を嫌う政府が、海南島など未発展地域・都市の開発を積極的に推進し、中華民国は世界史上類を見ない速度で経済規模を大きくさせていった。

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軍事力も拡大し、米国から購入した戦車やその改造型が整備され、海上においては施琅級航空母艦<遼東>が大連で就役するなど質的充実が達成されていった。

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中国の発展に伴って生み出された富の大半は、本土や朝鮮、インドシナなど比較的近い地域に投資された。しかし、それにも関わらず増大する輸出は東南アジアや南アジアにおける英国やオランダの製品を圧迫し始め、それら帝国主義諸国との関係悪化につながっていた。また1949年には、日本の貨客船<出雲丸>が米潜水艦に撃沈されるという事件がきっかけで日米戦争が勃発、軍国主義勢力が盛り返すとともに、中華民国の太平洋・南洋航路に重大な危険が発生していた。


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Last-modified: 2019-10-29 (火) 14:35:04 (16d)