納得できない独ソ戦と納得できない宣戦布告

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エンヴェル・パシャは納得できなかった。

オスマントルコには足りない物が多すぎる。

輸送艦隊を再建しなければアル=アンダルスやクレタ島で暴動が起きても対処できない。

最低限の戦闘艦も必要と知った。

帝国の大きさに対して陸軍の規模が小さい。

陸軍は戦車を熱望している。

反乱を未然に防ぐ守備隊や憲兵隊も一つも無い。

これらを揃える工業力も不足している。

そもそも近代的な工場を建設できる最低限のインフラを持つ地も少ない。

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頭を悩ますエンヴェルは1941年5月3日の独ソ開戦に打開策を閃いた。

工場が足りないなら他国から奪えばいいのだと。

ドイツは英米と二年近く戦争を続けている。

ソビエトは既に日露同盟とモンゴルとも戦争中である。

オスマントルコの国境にいたドイツ軍も赤軍も数を減らしだす。

独ソの戦況を窺い弱った方を攻撃すべしと考えた。

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6月26日。ソビエト属国のハンガリー社会主義共和国が併合される。

二重帝国は名実ともにオーストリア=ハンガリーとなった。

枢軸優勢と判断しオスマントルコは7月19日に共産陣営に宣戦布告した。

エンヴェルはドイツから届いた同盟提案に納得できなかった。

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こちらからの提案は素気無く拒絶しておきながら何を今更。

それに散々伝えた条件を無視するなど言語道断。

この同盟は我らに一切の価値が無い。

エジプトとインドに兵を送らなければならなくなる。

当然ロシア侵攻に集中できなくなるだろう。

ドイツはオスマントルコにロシアの土地を一寸も与えたくないのだ。

この戦いはテュルク民族解放の聖戦である。

枢軸もまた敵だ。

ドイツ軍の進軍を妨害する。

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ソビエト侵攻計画カザン作戦は軍を三つに分けて実行された。

自動車化兵1個師団・軽戦車2個師団・騎兵5個師団の快速軍団を含む50個師団がルーマニアから攻撃。

コーカサスでは30個師団が北上し、残る20個師団はイランとアフガンにて戦線を構築する。

主力であるルーマニア方面軍の第一目標は作戦名にもあるタタール民族の中心地カザンだ。

北東へと進みドイツの戦線を圧迫する。

独ソの戦線を北に追いやることで中央アジアからのドイツ排除を試みた。

しかし機械化軍の量と質共にドイツが数段は上である。

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オスマン軍がカザンの南100kmにあるサマラに到達した時にはドイツ軍が占領していた。

それどころかドイツに北から覆われようとすらしている。

エンヴェルは快速軍団に後続歩兵を待たず進軍を命令した。

占領地の拡大に伴いパルチザンによる負担も増している。

特にドイツとの境界付近で大規模な暴動が起きると進駐される恐れがあった。

歩兵は再編に忙しく、待っていてはドイツに先を越されてしまう。

エンヴェルは協力しない現地民に納得できなかった。

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ボリシェビキ共の卑劣なゲリラ戦は覚悟していた。

だがこんなにも共産主義の夢想に憑りつかれた者が多いとは思わなかった。

ロシアの諸民族は現実を直視すべきだ。

モスクワもキエフもレニングラードもバクーも落ちた。

最早ソビエトは崩壊は確実である。

抵抗したところで遅いか早いかの違いしかない。

誇大妄想狂のドイツに支配され下等民族に甘んじるか。

死に損ないロマノフの冷血な圧政に平伏するか。

宗教と民族が宥和するオスマントルコの庇護を受けるか。

どの国に属すのが幸せか考えるべきだ。

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1942年8月17日。諜報部よりオーストリア=ハンガリーで政権転覆に成功したと報告があった。

エンヴェルは何の事か分からなかった。

そして腹癒せに指示を出して撤回し忘れていたと思い出して頭を抱えた。

中央アジア争奪戦は突出した自動車化師団が壊滅するも順調である。

コーカサスは完全征服済。

イラン・アフガン方面も攻勢を始めている。

だが成功してしまったクーデターによって二重帝国がどう動くのか。

エンヴェルはクーデターの顛末に納得できなかった。

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オーストリアは協力的な政権になったと言うが領土要求にも軍の通行要請にも応じない。

皇帝もオットーから変わっていない。

我々は利用されたのだ。クーデターは見せかけだ。

今も共産と連合とは、ドイツと共に戦争状態のままである。

それだというのに枢軸同盟からは離脱している。

ドイツの前線からオーストリア軍の姿は消えた。

奴らの戦争目標だろうハンガリー併合は完遂されている。

政変を理由に単独講和を目論んでいるのだ。

勝手に終戦するのは構わない。

しかし卑怯者のハプスブルクがこのまま大人しくなるはずもない。

必ずやバルカンへの野心を露にするだろう。

直ぐに宣戦布告してくるに決まっている。

軍をイスタンブール防衛に回さなければならない

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エンヴェル・パシャは納得できなかった。


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Last-modified: 2020-02-10 (月) 20:10:22 (16d)