領袖サヴィンコフ

愛と幻想のファシズム

ドン、クバーニ、そしてテレクの領土は全てロシアに収まった。国際社会はエカテリノダールで繰り広げられた蛮行と、ロシアの見せる圧倒的な力を見て何もしなかったからだ……。
いや、正確に言えば、何も出来なかったのだ。

東京

青年将校.png我々日本人は、古来から道義忠誠心篤く、一億一体となって皇室を中心とした民族国家を形成してきた
青年将校.pngしかるに今、どこに愛国心があるか。どこに日本固有の文化があるか? 道義は朝の如く乱れ、秩序は破壊されようとしている
青年将校.png国体を守るのは軍隊である! 陸海軍が目覚めて、真の武士となる時こそ……日本が目覚める時である!
青年将校.png今こそ諸君に生命尊重以上に価値あるものを見せてやる――我々が至純の魂を持つ一個の男子として、真の武士として蘇るのだ!

ナポリ

KRムッソリーニ.pngイタリアの全人民に思い出してもらいたい!
KRムッソリーニ.png赤シャツを率いたガリバルディがイタリアを統一して以来、一部の王族と財閥がイタリアを独占した半世紀、いかなる艱難辛苦がイタリアを揺るがしたかを!
KRムッソリーニ.png目下のところ、イタリアには名目上の国家が二つある! 一つは、イスカリオテなる気狂いじみた秘密警察や、ペドフィリアが過半数を占める神父共の国
KRムッソリーニ.png一つは、ガリバルディ蜂起の牙城だったシチリアから興り、革命と伝統を背負う赤シャツの若者が、世界革命と民族解放の日に備える――「団結したイタリア」だ!

ベルリン

エルンスト・レーム.png本日は、我が友シュトラッサーが病欠の為、このエルンスト・ユリウス・ロームが諸君らの前に立ち、演説する
エルンスト・レーム.png演説するに当たり注意していただきたいのは、私が断固として、容赦なく、インテリの修飾や美辞麗句を用いない事だ
エルンスト・レーム.pngインテリの築いたコンツェルンは、不況の覆滅に失敗した! 軟弱な機甲軍主義者どもは、ドイツ民族の優れた血が持つ力を誤解し、英雄的な要素などなに一つ無い戦争で国家の血を汚そうとしている!
エルンスト・レーム.png民族の嵐を巻き起こし、旧弊に満ち、精神分裂的なヨーロッパを粉々に打ち砕こう! ――古臭い教会を爆破し、偽りの神々を掃き溜めへ葬った暁に、真の千年帝国が顕現する!!

ロンドン

モズレー2.png昨夜、ダウニング街に悲しいニュースが飛び込んできた……第一革命の際には白旗を掲げたヘルシング家が、事もあろうに人民の議会に反旗を翻したのだ
モズレー2.pngだが、エリック・ブレア率いる「ニュースピーク軍」は、彼と哀れで、少数の軍隊を粉砕した。今や彼とその僕の亡骸は、街頭に逆さづりされ人民の慰み者となった

モズレー3.pngハッキリと言おう――旧来の、イギリスを騙る全ての、少数による少数の寓話じみた文化は去勢されたのだ。グレートブリテンに白熱灯が照らさぬ街は無い。それは、鉄の踵と英雄的な行動による新しい言語――
モズレー3.png「イングソック」と言う名の神の手による導きが、遍く人民を幸福にすべく作用しているからに他ならない

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あらゆる国で、ファナティックな政策を唱える集団が天下を盗った。彼らは背後で吠え猛る民衆を力に変え、つぎはぎの秩序で生き永らえる世界に引導を渡そうとしている。
嵐の中で新世界を築き、千年の力ある平和を手に入れようとしている。
1936年に起きたロシアの政治的地殻変動が、或いはアメリカで起きた凄惨な内戦が、あらゆる民族の防衛衝動を掻き立て、暴走させたのだった。

モスクワ

デーレンタール.png世界はもはや火薬庫同然ですな。七大国のほとんどが内戦状態にあるか、過激派によって政権が掌握された状態です
親方サヴィンコフ.pngデーレンタール君。我々が他人を過激派扱いしちゃいかんな。我々は産声をあげた連中より一足先に権力を握ったに過ぎぬ
デーレンタール.png何はともあれ、ドイツ帝国に一泡吹かせた我々が一歩リードしている状況に変わりない……しっかりとカメラを向いて下さい、テレビジョンの初放送ですよ
親方サヴィンコフ.png照明はしっかり付けろ、あと台本……よろしい。ファシストの何たるかを教えてやる


親方サヴィンコフ.png諸君。高原の子孫たち、シルクロードの旅人よ。ありとあらゆる「ロシアの遺産」たちに、この放送を聞いて欲しい
親方サヴィンコフ.png君たちはロシアを裏切った。我々がツァーの時代から君たちに施した恩恵は、ニガヨモギの如きレーニン、トロツキー、スピリドーノワの愚連隊。そして君たちの些細な野心に辱められた
親方サヴィンコフ.pngだが、私は諸君を許す。私を支持したロシア人たちもまた然り。これまで捧げてくれた忠誠と、献身をもって我らの軍門を訪うなら、同志(タヴァリシチ)として宴を共にしよう
親方サヴィンコフ.png鉄の女がコサックたちと踊ったクリミアの諸君。或いは、好敵手として大ロシアと戦い、かの大戦争においては前衛として一体化の礎となったマロロシアの諸君
親方サヴィンコフ.pngプリバルティカの英雄的な騎士の末裔たる諸君、シベリア辺境で錨に縛られた氷河の英雄たち、モンゴルで息を潜めるアジアのともがらよ
親方サヴィンコフ.png君たちの血涙は報われる。我ら大ロシアの若人が流す血が、赤い津波となってカイザーと、ボルシェビキと、ツァーリ気取りでいる軍閥の小物どもを押し流す
親方サヴィンコフ.png裏切りの時代は終わり……神が地上の全てと約定した、「第三のローマ」によるキリスト教国家の日は近い

ジハード

サヴィンコフの演説が世界を駆け巡った時、山岳の国・アフガニスタンでも一つの動きがあった。彼らは共に緑地の旗に光る三日月をシンボルとし、不信心者に対する反転攻勢を目論んでいた。

マリク.pngロシアがコサックを従えたのは、吉である

中央に坐するハビーブッラー・カラカーニ王は、「アッラーの戦士」と綽名されるジハーディストだ。
彼は大英帝国の官僚機構が支配するデリーや、近代国家への脱皮を図るイランからの攻勢を退け、アフガン王に登り詰めた男である。

シャイク.png……
アリム.png賢明なる王・カラカーニよ、一体なぜそのような事が言えるのです

彼の左右には北カフカースのジハーディストたちを率いるシャイク、それにトルキスタンのイスラム教徒たちから崇め奉られるアリム・ハーンが侍っていた。
長年イスラムの教えを抑圧してきた諸国が将棋倒しのように崩れ落ちる隙を突いた彼らは、とりわけ強大な力を持ったロシアが狂犬に生まれ変わった事で戦々恐々としている。

マリク.pngロシアの勃興は、これに比例するかの如く中東諸国の信仰を高めている。長年クルド人の独立運動が懸念されていたオスマン帝国は、ロシアを脅威として掲げる事で、多数のアラブ人に皇帝への畏敬を取り戻す事に成功した
マリク.png彼らを取り囲むエジプト等の国々も、列国会議において権益を唱えるより、キリスト教国家や共産主義者たちによる脅威から身を守る為の団結を訴え始めた

渺茫たる何かを見つめる様子のカラカーニ王に耐え切れず、シャイクが口火を切った。

シャイク.pngで、ですが王よ。チェチェン人の戦力を以てしても、ロシア人の野蛮な武力を退ける事は難しい
シャイク.png彼らはエカテリノダールでクバーニのコサックたちを無力化し、一夜のうちに臨時政府を合併すると宣言しました。この後、クバーニのコサックたちがいかなる行動を取ったか? 恭順ですよ!
シャイク.pngイカレポンチのアンネンコフが腕試しと言わんばかりに、黒海コサックの頭目を押し並べて銃殺する一方で、「小ナポレオン」カッペリが親露コサックを組織化してサヴィンコフに忠誠を誓わせている
マリク.png千載一遇の機を逃すつもりかね。キリスト教国が三十年戦争以来の大分裂にある時期に、君は銃を置き手を差し伸べよと

シャイク.pngそう言う訳では……
アリム.pngシャイクと同意見です、偉大なる軍神よ。我々とて千載一遇の機を逃がしたくない。が、無闇に聖戦士たちを犠牲にするのはよろしくありません
アリム.png幸い、フランスとドイツは鎬を削り合っている。遠からずヨーロッパを破壊し尽くす大戦争も起きるはず。ここは敢えて待ちに徹し、イスラム教徒の融和を行って経済成長を図るがよろしいでしょう
マリク.png……スレイマニとファラオの末裔が手を組むかな
アリム.pngアッラーの教えを継ぐ月の民なれば、必ず

カラカーニ王とシャイク、そしてアリム・ハーンの論争は夜を跨いで続けられた。が、最終的に二人の慎重な意見がカラカーニの野心的計画を説き伏せる事に成功した。山奥のイスラム列国会議は、さしたる波風も立たぬまま終了を迎えようとしている。

マリク.pngお二方とも、遠方からご苦労であった。当方が召し抱えるハサンたちに君たちを護送させよう

カラカーニの渺茫たる視線は変わらない。アリム・ハーンとシャイクはそこに違和感を覚えた。列国会議での様子を見ても、神の戦士と讃えられた剛毅さをうかがい知る事が出来ない。
シャイクはそこに安堵を覚え、アリム・ハーンは逆に不信感を抱いた。

シャイク.png偉大なる王の賢慮に感謝いたします。では私はこれで……
アリム.png(はて、神の戦士の名を恣にするこの男が、果たして引き下がるかな)

シャイクが脱力しながら会議場を去る中、アリムは意を決してカラカーニ王の真意を確かめる。

アリム.pngあのような無礼を働き申しわけない。しかし、シャイクの様子を見ていると、あれが本当にジハードをやるか気が知れません……あぁ言った臆病者が居るうちは、断固たる行動を取れますまい

アリム・ハーンは、バスマチ蜂起の指導者としてロシアから独立を勝ち取った英雄だ。しかしだからこそ、彼には聖戦の無謀さが良く分かる。
むしろ彼は中央アジアから地中海に跨るイスラム教ブロックを築き、やがて分裂するヨーロッパを凌駕する経済基盤を整える事が重要と考えていた。が、彼の想像を上回る決断を、既にカラカーニは下していた。

マリク.png彼は死ぬよ
アリム.png……?
マリク.png何故ならば、暁の鐘が鳴る頃にハサンたちが行動に移るからだ。北カフカースの山岳からクリミアまでのイスラム圏を取り戻すため、秘密戦を行うからだ。この聖戦で惰弱な小物は生き残れまい

アリム.pngでは……

アリム・ハーンが口を動かそうとした時、喉元に冷たい感覚を覚えた……一人のハサンが手にするククリナイフが、薄皮一枚を剥いで赤い血を浴びている。

マリク.png鬨に備えよ。ジハードの時間だ

エカテリノダール

アンネンコフ.png♪〜♪〜♪

ボリス・アンネンコフは上機嫌だった。何故なら、クバーニのコサックを殺してその資産を集めた事で、遥か極東の株価変動に乗じひと財産儲けたからだ。

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青年将校に担ぎ上げられた近衛文麿内閣が発足した後、天皇が虎ノ門で銃撃を受けた。天皇の傷は軽微だった*1ものの、立憲政治の崩壊を受け入れきれない玉体は精神的な不調すら見せ始めていた。
やがて天皇は枢密院会議を招集すると、心身の傷をいやす為に出家を選択し、幼子の明仁皇太子、そしてそれを補佐する秩父宮摂政による新体制発足を決議した。
青年将校の中でも意見が分かれるこの判断は、実のところ天皇自身の秘かなカウンターと言えた。天皇は権威的存在として日本の中核を担う一方、文武は政治家や軍人が取り行うと言うのが天皇の思想だったからである。
秩父宮摂政は兄である裕仁の意を秘かに汲んだ後、青年将校の中でも特に見どころがある武山中尉に賛同意見を述べさせることで、軍事評議会は天皇譲位を承る事を決定。
秩父宮摂政と近衛宰相が新天皇に替わり政を行い、元号も「正化」に移行する事で一致した。秩父宮雍仁は摂政に就く事で、兄である裕仁の意向を少しでも実現しようと試みていた。

MRUS Voskoboinik.png何が嬉しくて鼻歌歌ってるんすかねぇ……? 懐にぎっしりルーブルが入ってるけれども
MRUS Kaminski.png当てて見たまえ、ヴォスコボイニク
MRUS Voskoboinik.png「他人の不幸で飯が上手い!」ですか?

カミンスキーの膝蹴りがさく裂した後、アンネンコフがナイフで肉を削りながら振り向いた。

アンネンコフ.pngヴォスコボイニク! 失礼抜かすな。株券がすげぇ大当たりしたから、喜んでるだけだ
MRUS Voskoboinik.png円の乱高下に便乗してカネを設けたんでしょ、天皇退位で!
アンネンコフ.pngあそこはインペラートルがツァーより支持されてるのさ。その証拠に、暗殺未遂のせいでアナーキストが農民になぶり殺しに遭ってる。俺の慧眼が大当たりさ

アンネンコフがスライスした赤味肉に塩コショウを付け、軽く火であぶってから噛み切った。

アンネンコフ.pngところで……例の強盗つかまえたか
MRUS Kaminski.pngご指示の通りに
MRUS Voskoboinik.png黒服で、黒い覆面を被ってました
アンネンコフ.png片方をこっちに呼び寄せろ。あと、カミンスキー

アンネンコフがカミンスキーの耳元に顔を寄せ、秘策を述べた。カミンスキーが無言で肯いた後、ヴォスコボイニクが覆面男を連れて来る。

名無し.png……
アンネンコフ.png良く来たな! 俺たちの警戒下で金塊を盗むなんざ、大した度胸だ

アンネンコフはカミンスキーとアイコンタクトを取った。カミンスキーが布で隠された物を手に取るあいだ、アンネンコフは強盗をイスに座らせる。

名無し.png何のつもりだ
アンネンコフ.pngたいした事じゃあないさ。お見知りおきを、と思った
名無し.png脈絡が無さすぎる
アンネンコフ.png人生は賽の目次第さ。運が悪ければ俺もアタマンじゃなくて「人民の敵」として、ボルシェビキの替わりに壁に立っていたともよ
アンネンコフ.png自慢じゃ無いが俺は信心深い方なんだ。賽の目を転がしてくれた神様には感謝していてね……信仰の探求に勤しんでいる
MRUS Voskoboinik.png(何バカ言ってるんだか)
アンネンコフ.png特に……そうだな。ムスリムの違いとか、興味深いんだ。カミンスキー、例の

カミンスキーが物を包む布を剥いだ。強盗の顔が豹変する。何の変哲もなさそうな一枚の絵画には、大天使の教えを受けるムハンマドの「顔」が描かれていた。

アンネンコフ.png探し当てたんだよ。何せ多くの地域じゃあムハンマドは顔なしだからね……どうした、目が充血してるぞ。感動したか?
名無し.png…………冒涜だ
アンネンコフ.pngいずれにせよ知識がありそうだ。俺の臨時講師をしてくれる礼にカネを払おう……何故、イスラム圏にはムハンマドの顔が描かれているところと、描かれてないところがある?

覆面男が吠えた。ヴォスコボイニクの緩い拘束を解いてアンネンコフに拳を振りかぶる。しかしアンネンコフは肉を切ったナイフを覆面の喉元に突き付け、ゆっくりと下顎の柔らかい部分に押し当てた。

アンネンコフ.pngジハードだか何だか知らないが、困るんだよ俺のセクトで暴れてくれちゃあ……

アンネンコフは、覆面の口に素早くナイフを突っ込んだ。覆面の悲鳴と共に歯が神経ごと抜き取られる。

アンネンコフ.pngお前の戦闘団は俺の部下共が一掃した。後はお前から自供を取るだけだ。ロシアはお前らの国と違って法治国家なんでね……洗いざらい吐いてもらおうか。お前らの目的と、黒幕を

モスクワ

アンネンコフから報せを受けたサヴィンコフは、さっそく最高枢密院を開いた。もはやそこにコルニーロフの席はなく、議長を専ら彼が務めている。

親方サヴィンコフ.pngさて。君たちをここに呼んだのはほかでもない。砂漠や山岳に居るバカげた原理主義者を歴史の掃き溜めに送る為だ

サヴィンコフが切り出すと、座席に着いたマルコフ、ドロズドフスキーは首を縦に振った。ちゃちな銀行強盗が実はイスラム教徒による武装蜂起の狼煙だった事が明らかになったからだ。
しかし当のサヴィンコフは冷静で、むしろこの機会を最大限に活かそうと鋭利な頭脳を回転させているように、英雄的な軍人ふたりは考えていた。

ドロズドフスキー.png現在、フォン・カッペリから届いている報告は以下の通りです。「エカテリノダールに潜伏したイスラム教徒は保護下に」置き、「アンネンコフ方式で過激派と穏健派に分別」している
マルコフ.pngアンネンコフ方式とは何だね、嫌な予感しかしないぞ
ドロズドフスキー.png彼らの使徒ムハンマドの「顔」を見せ、跪くかそうでないかで決めるそうです
マルコフ.pngあのバカ……

マルコフが舌打ちし、頭を掻きながら座席にもたれかかった。

親方サヴィンコフ.png仕方なかろう。クラスノフ将軍の支援を受けたとは言え、クバーニのコサックたちの分裂は酷い。応急処置でもしないと小火が大火事になりかねん
マルコフ.pngしかしね、総帥。こんなイカレたやり方をして、カフカースのイスラム政策はどうするんです! あの連中はアフガンのクソ野郎とつるんで、貴方が大好きな人民(НароД)の生命なんて考えずに戦争している
マルコフ.pngツァールストヴォ*2のように鵺じみた権威を作るには、貴方の子々孫々が二十代は権力を収めねば……
親方サヴィンコフ.png生命を捨て駒か何かのようにとらえているのは、我らとて同じだ。問題は犠牲をどのように活かすかに過ぎん
親方サヴィンコフ.pngそれに私にはいい考えがある。ミハイル・ゴーデヴィチ
ドロズドフスキー.png
親方サヴィンコフ.png私の考えが分かるかね

ドロズドフスキーはしばしサヴィンコフを直視して、それから分厚い資料を机の上に出した。量はマルコフが口をあんぐり開け、顔を背けるほどだ。

ドロズドフスキー.pngカフカース諸国に対する軍事作戦「コーバの場合」を説明します

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ドロズドフスキー.pngまず山岳共和国を潰し、勢いに乗ってアルメニアまで併合します
マルコフ.pngドロズドフスキー。拳が良いか、ブーツが良いか
親方サヴィンコフ.png話は最後まで聞いてやれ
マルコフ.png聞く耳持てって言うんですか、ボリス・ヴィクトーロヴィチ! 山岳共和国を潰すまでは肯けるが、アルメニアまで併合してどうするんです。あの似非民族主義者共、ケバブ頭の老いぼれを後ろ盾に我々を脅してきますよ

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マルコフ.pngそれにグルジアのメンシェビキ! 特にベリヤとジュガシヴィリだ……工作員を使ってロシア国内をかき乱そうとしている
マルコフ.pngもしメンシェビキがお得意のピンク主義*3でカフカース諸国を糾合したら、内外から火の手があがります。コーバの場合はご再考ください
親方サヴィンコフ.png私の考えは別だ……デーレンタール君。写真を

デーレンタールが黙って写真を机に放った。

ベリヤ.png

親方サヴィンコフ.pngまずこのラブレンチー・ベリヤだが色々悪評が有る。ただの悪評じゃない、こいつはペドフィリアで何人もマセたクソガキをカネで買ってるって話だ
親方サヴィンコフ.pngだがРПКの手に入れた情報は、もっとひどい。こいつはペドで、サディストで、大小問わず気に入った女を牢獄に入れ、毒ヘビと夜を共にさせ、発狂させ、殺して風呂いっぱいの硫酸で溶かす
親方サヴィンコフ.pngしかも性質が悪いのは、グルジアじゃ愛妻家として通ってることだ。家族からの親愛も篤いし、闇将軍として政財界を牛耳ってる。が、奴には弱点がある

KRジュガシヴィリ.png

親方サヴィンコフ.pngコイツは別の意味で性質が悪い。ツァリーツィンでも「同志」たちに銃剣突撃をさせ、自分だけはコルニーロフ衝撃隊の追手を逃れグルジアへ飛んだ。裏切り者で、しかも野蛮な人殺しだ
親方サヴィンコフ.png奴はボルシェビキ革命で危険な武闘派としてなり上がった事だけを誇りとしている。こう言った卑屈な男が、ベリヤみたいに悪趣味な男をどう思うかな……

マルコフは時を置いた後、デーレンタールの顔をちらっと見て、それからドロズドフスキーに視線を向けた。

マルコフ.pngお前を殴るのは後回しだ、その替わり私の「機甲戦」に協力するかね?
ドロズドフスキー.png無論です
マルコフ.pngではこうしましょう総帥。山岳共和国を併合し、かつアルメニアまで進出する唯一の術があります。オスマン帝国と戦争になる危険は有りますが良いですね

サヴィンコフはマルコフをじっと見た後、ニヤリと微笑んだ。

親方サヴィンコフ.png君なら言うと思ったよ

マルコフがサヴィンコフに耳打ちする間、ドロズドフスキーは分厚い資料を逐一見直し、万年筆で芳しくないところを修正し始めた。

フロストバイト・クルセイダーズ

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ロシア人にとって最大の不幸はレーニンが生まれたことだった。そして二番目の不幸は彼が死んだことだった
―――ウィンストン・チャーチル

連なる山の白い峰々を、私はじっと眺めていた。あそこはツァーリ時代のロシアが苦戦したチェチェン人の住処で、今なお恐るべき強敵として将兵の胸を恐怖で満たす。

カッペリ.pngあの山岳でチェチェン人と戦うなら、首がいくつ飛んでもおかしくないな
アンネンコフ.png俺たちがお前のケツを守らなきゃ、真っ先に死ぬのはナポレオンのお前さんだぜ

アンネンコフが黄色い歯を見せながら笑うのを私は無視した。ドロズドフスキー将軍は私とアンネンコフを組ませ、表裏一体となった戦争計画を以てアルメニアまで併合しようと画策している。

カッペリ.png遠い道のりだ。トルコ人まで加わったら偉い事になる
アンネンコフ.png心配性にもほどがあるね。要は相手を煮るか焼くかだ

アンネンコフの知ったような口ぶりに苛立ちを覚えつつ、私は軍馬を進めた。アルメニアまで到達すればマルコフお手製の装甲師団がもらえると言う話で、実のところ躍起にもなっている。
辿り着くにしろ途中で死ぬにしろ、戦いに意義ある限り赴くのが軍人の務めだ。

カッペリ.pngしかし、それにしても不思議だな。ここまで山岳に近付いたは良いが、敵が出て来ない。奴らの性質からすると河辺に隠れて将軍の一人か二人、襲っても不思議じゃ無いんだが

ニタリとほくそ笑んでいるアンネンコフが、ちょうど山から来た黒騎兵から耳打ちを受けた。アンネンコフのフッサールは、私を見てお固い奴だと言わんばかりの顔をしてから後ろへ走り去っていく。

アンネンコフ.pngフォン・カッペリ。貴殿に少しお願いがあるんですわ
カッペリ.pngあまり良い願い事ではなさそうだが
アンネンコフ.pngちょうどフォトグラファーが俺の軍団には居るんでね。あんたの馬毛並みが白いでしょ?
アンネンコフ.pngナポレオンみたくポーズ取ってね、ペトログラードからオムスクの女をメロメロにして欲しいんですわ

気でも違ったかと言おうとした私に、アンネンコフはすかさず馬を寄せ、耳打ちする。

アンネンコフ.pngジュガシヴィリの野郎。協力するはずだったチェチェン人と仲違いしてまっせ

私は、ドロズドフスキー将軍の分厚い資料がどのようなものかを察し、将校連隊の者にこう叫んだ。

カッペリ.png国産戦車に乗りたい奴は前に出ろ……私と一緒に先頭を行進するぞ


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戦争は、ロシア軍の圧倒的優勢で進んで行った。目下のところカッペリ軍集団が苦戦したのは山登りと現地住民の懐柔だけで、当初は三ヶ月の戦争予算が盛り込まれた遠征は二ヶ月ほど短縮された。

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また、ほとんど言いがかりに近い形で宣戦布告されたグルジアでは、ベリヤの性的倒錯がどこからかリークされた。
これを快く思わないジュガシヴィリと国家元首オルジョニキーゼが、揃ってベリヤの追い落としを図ったせいで前線はズタズタになり、開戦から一ヶ月で首都を包囲される結果となった。

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グルジアが併合された後、即決の軍事裁判でベリヤ、オルジョニキーゼの銃殺が決定された。ベリヤは処刑寸前に気絶したため絞首刑に処され、オルジョニキーゼはタバコを吹いて将校連隊を睨みながら処刑された。
ジュガシヴィリの行方は依然として知られなかったが、ある筋によれば逃亡中に黒塗りの高級車と衝突し、アンネンコフのフッサールに拉致されたまま蒸発したと言われる。

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残るはアルメニアだけだったが、サヴィンコフはここで攻勢を掛けず猫なで声でアルメニアを懐柔しようと試みた。無論、それはオスマン帝国による無思慮な行動を煽る計策である……。

我が友サヴィンコフ

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そして見ていると、見よ、白い馬が出てきた。そして、それに乗っている者は、弓を手に持っており、また冠を与えられて、勝利の上にもなお勝利を得ようとして出かけた。
―――ヨハネの黙示録 第6章2節

旧グルジア領バトゥミ

カッペリ.png……想像していたより、すごいな
アンネンコフ.png良いなー。俺もこいつを真っ黒に塗って、鉄騎兵のように砂漠を駆け巡りたいぜ

トルコとの国境に達した我々は、進軍を停止している最中に新しい装備を貰い受けた。戦車と称される鋼鉄の馬は、エリートクラスの各衝撃隊に配備されたらしい。
しかし、マルコフやドロズドフスキー将軍がアルメニア如きを制圧するのに手間取るはずがないので、その背後に隠れているトルコ人どもが標的なのは、火を見るより明らかだった。

NRPR戦闘団員.pngあと数時間で「ロシア空軍」も到着するようです
カッペリ.png空軍もか?
NRPR戦闘団員.png最も偵察が主な任務ですがね。旧式な軍隊にはそれで十分でしょう……これがカイザーの軍隊だったり、訳も分からんアカの兵隊共だったら恐いですがね

戦車の上に乗っていた戦闘団員が中に引っ込むと、アンネンコフは砂漠の方に手を翳した。グルジア内の協力者を山の上に置いて来た狂犬が、その嗅覚で何かを察知したようだ。

アンネンコフ.pngトルコ人の帝国、ドイツやおフランスから何て呼ばれてたっけ
カッペリ.png「瀕死の病人」だが?
アンネンコフ.pngあれ見ろ。水平線から濛々と漂う砂塵を。あの有様が瀕死の病人か?

アンネンコフがおちょくるような声で私に促したので、腹を立てつつ望遠鏡で水平線を見た。砂煙が天高く昇り、それが雪崩のようにこちらへ近づいて来る。
私はアンネンコフを押し退け、戦車に飛び乗った。風にあおられるような圧力を背中に感じた私は空を見上げて、黒・金・白の国籍マークから飛行機がロシア軍のものだと知る。

カッペリ.pngあれが瀕死の病人?
アンネンコフ.pngお前もそう思うか。ヨーロッパ人てのはどうもピンボケしてるよな、あれが瀕死の病人だったら、俺たちは何だ?

私はアンネンコフの顔を見て、思い切り口角をあげて言った。

カッペリ.png屠殺人だ

http://art29.photozou.jp/pub/867/3222867/photo/253561571.v1516222774.png

ペトログラード ツァールスコエ・セロー

コルニーロフは、既に瀕死だった。長年屈強な肉体を誇って来た彼も、60の齢で文武両道で国難の打開に当たったせいか、些細な病から重篤な合併症を引き起こしていた。
各有力者がコルニーロフの別荘を訪れる中ひときわ目を惹いたのが、ユスポフ公爵ともう一人の男爵、ピョートル・ニコラエヴィチ・ヴラーンゲリだ。

MRUS Yusupov.pngラーヴル・ゲオールゲヴィチ

ユスポフが見たコルニーロフの顔には、明確に死の影が刻み込まれていた。しかし当の本人は苦境の最中にある事を満面の笑みで見事に隠し、二人の訪問者を好々爺のように見つめている。

Mrus Kornilov.png……公爵殿下に、黒男爵か

ヴラーンゲリが敬礼した後、コルニーロフに肩を貸してやる。

ピョートル・ヴラーンゲリ.pngお久しゅうございます
Mrus Kornilov.png二度と会えないかも知れんからな。良くわしの顔を見ておけ
ピョートル・ヴラーンゲリ.pngご厚意に感謝いたします
Mrus Kornilov.png良い、良い……ところで、「次期」政権の要人どもが、雁首揃えてこの部屋を訪れおった。何が起きている

ユスポフ公爵が、コルニーロフに耳打ちする。衆目美麗な顔には蒼ざめた憂いが見られた。

Mrus Kornilov.pngはっはっは! 見事なりボリス・ヴィクトーロヴィチ。そして哀れなりボリス・ヴィクトーロヴィチ
ピョートル・ヴラーンゲリ.png我らロシア軍は、アルメニアを数週間のうちに併合しました。国境を越えたトルコ軍をせん滅し、アルメニアの首都を抑えたのです
MRUS Yusupov.png何でも、現地記者によればトルコ軍の守旧派が、過激なジハーディストと組んでロシア軍を急襲したそうなのですが……
Mrus Kornilov.pngラクダが馬の替わりなのだ、あんな連中に我がルーシの軍隊が負けるか

コルニーロフは死の床にありながら、剽悍な眼差しでユスポフ公爵を見つめている。何かを言おうとしては、部屋から少しのぞき見する戦闘団員の顔を伺っているのだ。

Mrus Kornilov.png公爵殿下
MRUS Yusupov.png
Mrus Kornilov.png率直に言うと、我輩はまだ生きる事を諦めてはおらんのです。故に医者も手心を加えず、生死を掛けたオペを行ってくれる
Mrus Kornilov.png体力を温存せねばなりません。今日は、お引き取りを
MRUS Yusupov.pngで、では……ピョートル・ニコラエヴィチ
Mrus Kornilov.pngいや! 彼は結構

踵を返そうとしたユスポフ公爵がコルニーロフの方に首を捻った後、炯々たる意志の光に負け、最後の敬礼をしてから部屋を出る。

ピョートル・ヴラーンゲリ.pngよろしかったのですか
Mrus Kornilov.pngあの様子では、言いたいことも言えまい。貴様がここに来た理由も分かった
ピョートル・ヴラーンゲリ.png……
Mrus Kornilov.pngピョートル・ニコラエヴィチ

コルニーロフの猛きんのように鋭く、誇り高い目と、ヴラーンゲリの求道者の如き、冷たく透き通った眼差しが交錯した。

Mrus Kornilov.png決起の期日なら、もう少し延ばせ
ピョートル・ヴラーンゲリ.png形勢、我が方にあらずですか
Mrus Kornilov.png我々は大きな歴史の流れに居る。あのテロリストがコンスタンティノープルを支配するのも運命ならば、貴様が荒れ果てた肥沃な大地、真のロシアを再建する任務を担うのもまた運命だ
Mrus Kornilov.pngボリス・ヴィクトーロヴィチに私欲は無いが、途方もない革命への病的な執着が奴を英雄たらしめなかった
Mrus Kornilov.png奴の周りを取り囲むのは、ゴロツキと情婦と殺戮者と、旧世界の全てを呑み込む死の瘴気だ
Mrus Kornilov.png我輩が十年遅く生まれていれば、奴の出る舞台などこの腕でぶち壊してやったに違いない。が、神が母に生命を授け、我輩を1870年に産み落としたのも宿命だろう
Mrus Kornilov.pngだが我輩の遺したロシアの軍隊は、「貴族的」でなければならない。真の誇り高い貴族は、名分でなくその行動を以て神と祖国に献身せねばならん

滔々としゃべり続けるコルニーロフは、最後までヴラーンゲリの顔を見続けた。ヴラーンゲリは彼の目から魂魄が飛び出し、自身に憑依してでも無為な死を回避しようとしているように思えてならなかった。

Mrus Kornilov.png……長々と、喋り過ぎた。疲れてしまったよ
ピョートル・ヴラーンゲリ.png水を
Mrus Kornilov.png良い。それよりも黒男爵よ……君が持つ先祖の国では、死神を「友人ハイン」と言ったそうだな
ピョートル・ヴラーンゲリ.png
Mrus Kornilov.pngそれがな。足音が近づいて来るのだが、どうも聞き覚えのある音なのだ。それはコツコツと、静かなのに不気味な響きで近付いて来る……我輩に二度もクーデターを仕掛けるよう、促したあの男のように

ヴラーンゲリがコルニーロフの顔をじっと見て、言った。

ピョートル・ヴラーンゲリ.pngヒ素を盛られましたね
Mrus Kornilov.png愛国者だと言うに、ボナパルトのような死を遂げるとは。これも神の差配だな……さて、黒男爵よ。もうひとり訪ってきた

友人ハインですか。ヴラーンゲリは言葉を飲み込んだ後、目をつむって動かないコルニーロフに最上級の敬礼をした。
踵を鳴らし利き腕を曲げたその顔には、涙が一筋頬を伝っている。最後の来訪者が消え、死の闇がコルニーロフに迫って来た。

Mrus Kornilov.png(聞こえる。聞こえる……我輩を迎える歓呼の声が。兵士と民衆と、我が妻と子の声が)

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Mrus Kornilov.png(魂は神に。愛は女に。義務は祖国に……名誉。その全てに)

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Reign of Terror

コルニーロフの死後、サヴィンコフはモスクワ放送局から緊急放送を行い、コルニーロフの功績を讃え、その死を悼む声明を発表した。その後、「サヴィンコフに大統領と首相職を兼任させる」か否か国民投票する事を、形だけのドゥーマは決議した。

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98%が「Да」に票を投じた。無論サヴィンコフ側が不正をした事もある。しかしそれでも90%以上がサヴィンコフに賛成した事は事実だった。

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彼はテロルと共に勝利の栄光をもたらした。ロシア人民はそれに狂喜乱舞し、黒パンが白パンに、馬車が自動車に、荒れ地が農耕地帯に変わった事で存分に繁栄を享受していた。
サヴィンコフはむしろ、票の操作を命じた党幹部を懲罰大隊に送り、砲弾の嵐で生き残ったのを「MIA」と認定し、党籍をはく奪しようとすらしていた。
彼は大統領および首相職に就任した後、「指令第一号」としてシベリアに「労働矯正キャンプ」を作るよう命じた。

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キャンプの名簿に登録された、エスエル・メンシェビキ・ノヴォ=ボルシェビキ、あるいはカデットの中でも自由主義に位置する政治家は、アンネンコフ戦闘団のフッサールに拉致され、鉄道を伝いキャンプに収容された。
収容された彼らは、以後二十年に渡る強制労働を強いられた。女子供にも容赦なく、かつてレーニンの妻だったナデジダ・クルプスカヤもキャンプの中で食中毒に陥り、死体は氷河に空いた穴に投げ落とされた。

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彼らの怨嗟が貨物列車を満たす中、クレムリンのバルコニーからサヴィンコフが民衆に対し「総督」を名乗る事を公表した。彼の役職だった「軍事」を抜き、ロシア全土を督する事を宣言したのである。
彼の隣には、ユスポフ公爵とアンナ・アンダースンが佇んでいた。公爵が沸き立つ群衆を呆然と眺めているのに対し、アンナはただ一人、総督の頬がこけた横顔を哀れっぽく見つめていた。





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秋の夜が落ちて、星が輝き始めたら、私は最後の言葉を言おう。私の拳銃は私と共にある、と
―――ボリス・サヴィンコフ

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*1 実際のイベントでは崩御している
*2 帝政時代
*3 どっちつかず。内戦中メンシェビキを非難する際に使われた

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Last-modified: 2018-01-18 (木) 07:18:25 (38d)